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Lingvistiko


 この「言語学用語集」は言語学の 専門用 語・学術用語についてまとめて、五十音順に並べたものです。用語の次に書いてある説明は、私がエスペラントEsperantoや日本語などの言語を材料 に、いろいろな言 語学の書物を参考にして自分なりに解釈したものです。そもそも私は歴史畑の人間なので、ここに書いてあることは言語学の論文やレポートには使わない ほうが良いよ、と忠 告しておきます。ただ、専門用語で権威付けられた言語学をほぐして、我々のものにするための一助になれば幸いです。なにしろ言語学の用語はややこしく難し く類似品が多いので。

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最終更新日:2007年12月18日

〔専門用語〕

【あ】
暗示的意味connotative meaning :内包。「兄」と「兄様」と「お兄たま」と「お兄さま」と「お兄ちゃん」と「兄貴」と「兄上」と「兄君」が指す対象は同じ「年長の男兄弟」だけれども、聞 き手に与える印象はそれぞれ異なっている。この異なっている意味が暗示的意味。→明示的意味 感情的な意味
異音allophone :二つの音が音素としては同じでも気音の 有無などで 音声学的に違う音の場合、それら同じ音素でも実際の発音では異なる音を異音と呼ぶ。日本語では鼻母音の「が」と普通の「が」は異音である。
異化dissimilation :前後の音の影響を受けて全く異なった音に変化すること。→同化。
異形態allomorph :形態素が別の形態素が付加されるなどしたときに、変化する別の形態。「書く」kak-uが「書いた」ka-i-taに、「酒」sakeが「酒屋」saka-yaの下線部のように、形態素が異形態をとること がある。エスペラントには存在しない。
意味 の三角形semantic triangle:オグデンとリ チャードの学説。言葉の意味を象徴symbol、思考または指示 thought or reference、指示物 referentの三つの要素に分けたもの。「今日は近所でお祭りがあるね。」と言ったときには、この「お祭り」には普遍的な「お祭り」の象徴と、「今夜 一緒に行くはずのお祭り」という思考または指示と、「今日、近所で催されるお祭り」という指示物、の三つの要素がある。
意味の場semantic field :互いに関連しあった意味を持つ語の総体が表す意味領域。語の意味を考える上で重要。「親藩」「譜代」「外様」などは江戸時代の大名の意味の場で、歴史上 これ以外の大名の種類は無いとされるので「すきま」は無い。
意味 微分法semantic differentiation:「明 るい‐暗い」といった相対する意味の言葉を用意し、その中間に「やや明るい‐どちらでもない‐やや暗い」などの評価尺度を置いて数段階で評価する方法。
意味 役割semantic role:項(名詞)が述語の行為の担い手である 場合は動作主agentと呼び、述語の行為の受け手である場合は被動者patientと呼ぶなどの、名詞の述語に対する役割。
異分 析metanalysis:ハンブルグという都市名から派生した ハンバーガーをハンとバーガーに分けて、チーズバーガーなどの新語を作る、などといった語源への誤解から新しい言葉ができること。シンクロナイズドスイミ ング (Synchronized Swimming) からシンクロ日本代表、シンクロ水着といった単語ができるのもその例。これは複合語だと勘違いするために起こる。
隠喩metaphor :比喩であることを明示することなく使われる比喩。日本語で言えば「〜のように」、エスペラントでいえば「kiel」を使わない表現。
引用形式citiation form :辞書で語彙素を配列する ときの見出し語として使われる代表的な語彙素。
うなぎ文:料理屋での「ボクはうなぎだ。」という注文から。「ボク」 は人間なので当然、うなぎではない。でも記述的意味は自分がうなぎであることを告白しているようにしか見えない。この場合の「は」は「〜については」のよ うな主題の提示の働きをしている。「夜はおやすみなさい、だよ。」「春はあけぼの」など。
音象徴phonetic symbolism :語の音が語の意味をあらわすもの。擬音語・擬態語の成立原理。音に支えられた普遍的な原理だが、その言語における共感覚が働かない他の言語では納得でき ないことがある。たとえば日本語では犬の鳴き声は「ワンワン」だけれどもエスペラントでは「ボイボイ」boj bojであり、英語では「ボウヲウ」bow wowとなるように言語によって違う音が同じような意味を象徴することがある。
音位転換metathesis :音位転倒とも。隣接、近接する音が交換されること。「あらたし」が「あたらし」になったり
、「雰囲気(ふんいき)」fun'ikiが 「ふいんき」fuinki になったり。
音節syllable :西欧の言語での音の単位。母音を中心とす るまとまりのこと。→モーラ

【か・が】
下位語hyponym :階層が下にあり、適用範囲の狭い語。「花」に対する「コスモス」、「昆虫」に対する「クワガタ」など。→上位語 →同位語
外項 external argument:意味上の主語。動作主のこ と。表面上で文の主語と目的語と項の意味役割が一致しない時に使われる。→内項
外心構造exocentric construction :あるまとまりを持った語がその中の構成素と一つも同じ統語的機能を持っていない場合、その語を外心構造と呼ぶ。「午後五時に」は副詞だが「午後五時」は 名詞で、「に」は助詞なので外心構造である。 →内心構造
外的 言語E-language:外言とも。他人に向かって用いられる音声を とも なった言語。情報伝達や意思表示のための言語や。→内的言語
概念的意味conceptual meaning :あるいは知的意味cognitive meaning。意味論でその語が持っている中核となる意味、共通理解できる意味。連想や二次的に喚起される意味などの副次的意味は除く。→感情的な意味  →明示的意味
会話の公理maxims of conversation :会話を円滑に運ぶための四つの規則。質の公理(自分が嘘だと思っていること、確信のないことを言わない。)量の公理(無駄なく必要なことだけを言う。) 関係の 公理(その場に関係のあることだけを言う。)様態の公理(簡潔で明瞭に言う。)。この公理を守ればつまらない会話ができる。
かき混ぜscrambling:語順を移動すること。日本語やエスペ ラントのように比較的語順が自由な言語では語順の移動が可能である。節の内部での移動を短距離かき混ぜ、節を超える移動を長距離かき混ぜと呼ぶ。倒置法。
過剰 矯正hypercorrection:言語形式を正そうとする余りに不必要な修正 を行ってしまうこと。「ら抜き言葉」を避けようと意識する余りに「変われる」を「変わられる」とするなど。
過般 化(過拡張)overextension:言語習得者などが規則活用を習得した後で、 不規則活用すべきものにもそれをあてはめて規則活用してしまうこと。comeをcomed、haveをhavesにするなど。幼児語や中間言語によく見ら れる。
刈り込みclipping :語彙素の一部を省略して新しい語彙素をつくる。テレビジョンからテレビ、プラットホームからホーム、など。航空母艦から空母、重巡洋艦から重巡なども。
感情的な意味emotive meaning :副次的な意味、とも。「ママ」「母上」「ババア」「お母さん」では同じ事物を指していても感情的な意味が違う。→概念的意味 →暗示的意味
間接 発話行為indirect speech act :間接言語行為とも。言外の含意。「今夜は暇ですか?」と問われて「今日はドラマの最終回ですね。」と答えて、誘いを言外に断ること。
感動詞 interjection :間投詞とも。感情や応答を表す。→エスペラントの間投詞
換喩metonymy :隣接性、近接性や関連性による比喩。陶磁器を「china」と呼んだり、鍋料理を「鍋」などと呼ぶこと。
慣用句idiom :「耳にたこができる」のような慣用的な表現。シンタグマティックな関係においてのみ成立する。
きこえsonority :聴覚的印象。声の大きさの印象は口の開き具合で変わるというもの。口を大きく開けば開くほど声も大きく聞こえる。
記述的意味descriptive meaning :真理条件truth conditionに基いて真偽を決定できる意味。書かれた字面の意味。→表現的意味
記述文法descriptive grammar :現存する言語、特に音声に存在する規則を客観的に記述したもの。分析の結果、反例が発見されれば、その記述は妥当性を欠くものとされ、修正されていく。  →規範文法
基層substratum :ある言語集団によってある地域の言語集団が征服された場合に、その地域でもとからあった言語が滅んだとする。その滅んだ言語が征服者の言語に影響 を残した場合に、前者を基層と呼ぶ。→上層。
機能function :言語の機能のこと。ビューラーの三機能説(叙述darstellung、表出ausdruck、訴えかけappell)やヤコブソンの六機能説(心情的 emotive、働きかけconative、指示referential、交話的phatic、メタ言語的metalingual、詩的poetic)が ある。
機能語function word :文法的な意味を表す形態素の こと。エスペラントの場合は品詞語尾、冠詞、代名詞、原形副詞、接頭辞、接尾辞、前置詞、接続詞、相関詞、数詞などで、これを覚えるとエスペラント文は大 体理解できる。そしてエスペラント文の場合はこの機能語が内容語の意味を持つ場合もある。→内容語
機能負担量functional load :プラハ学派のマテジ リウスMathesiusにより提唱された。音素の最小対立が意味の区別を行うのにどれだけの頻度で使用されているかを数量化したもの。 →最小対立
規範文法prescriptive grammar :従うべき規範を与えるための文法。実際に使用されている言語を考慮するのではなく、権威ある文章を規範としている。エスペラントは現在のところ Fundamento de Esperantoを規範としている。→記述文法
基本 母音 cardinal vowel:良く使われる母音のこと。第一次基本母音 primary cardinal vowelとは、非円唇前舌母音4つ「i、e、ɛ、a」と非円唇後舌の広母音「ɑ」と円唇後舌の半広・半狭・狭の3つ「u、o、ɔ」の8つ。
逆成 (逆形成)back formation:「a napron」が「an apron」と誤解されて「apron」という単語ができたり、複数形から単数形がつくられたり、というように本来の形成とは逆に単語が形成されているも の。その他、フランス語の「boucher」に由来する英語「butcher」の「-er」を動作主名詞の接尾辞と誤解して動詞「butch」(屠殺す る)という動詞ができるなど。
教育言語:初等教育や中等教育で使用される言語。

共感 覚比喩synaesthic metaphor:ある感覚で感じられた擬態語や比喩など表現 が、連想が働いて、別の感覚での表現に使われること。例えば触覚の表現である「なめらかな」が、「なめらかな音」のように聴覚の表現で使われること。
共時態synchrony :ソシュールによる、ある特定の時期の 言語(ラング)の状態。変化で はなく状態である。→通時態
共通語common language :言語変種のうち地域や社会的階層や集団を超えて通用するもの。
句phrase :構成素が集まったもの。文を為していない。その働きによって名詞句、形容詞句、動詞句、副詞句などと呼ばれる。
句構造標識phrasemarker :樹形図の節点にいろいろ情報を書き込んだもの。
句構造文法phrase structure grammaer :名詞句や前置詞句、動詞句などの句構造規則phrase structure ruleによる文法。
屈折inflection:語の意味や品詞を変えずに、他の語との関 係で起こる形態変化。名詞の格変化や動詞の時制変化、人称変化など。→派生
クリオールcreole :クレオールとも言う。ピジンを母語とする人々、集団が現れたためにピジンが確固たる文法と豊富な語彙を持ち発展した言語。言語の複雑化。 →脱クリオー ル化
形式名詞:「〜こと」、「〜もの」、「〜ところ」で表現される、 「事」「物」「所」などの漢字の意味を失った名詞の形。動詞についてそれを主語にする。
形態素morpheme :例えば英語のplayedのうちplayは語彙的な意味lexical meaningを持つ形態素であるのに対し-edは文法的な意味grammatical meaningを持つ形態素である。またplayは単独で使えることから自由形態素freemorpheme、-edは接尾しないと使えないので拘束形態 素bound meaningと呼ばれる。エスペラントの場合、品詞語尾や接尾辞なども自由形態素になるかもしれないので注意が必要である。
系統樹説familiy-tree theory:いくつかの言語の 共通の祖語からの枝分かれを系統樹で示せるとした歴史言語学の仮説。しかし言語の分離がそんなに単純化されるかどうか、同系ではない言語からの影響はない のか、など問題はある。→言語連合 →波状説
形容詞adjective :名詞を描写したり、限定、叙述したりする。エスペラントでは形容詞語尾-a、複数なら-ajで表される。
言語運用performance :言語能力(普遍文法)を利用して言語をさまざまな場面で使用すること。
言語獲得装置language acquision device :LAD。生成文法の用語。人間が生来持っている言語習得能力。
言語共同体speech community :同じ個別言語を共 有し、共同体内で集団精神を培うことのできる共同体。人種や国家は関係ない。狭義では、隠語や職業語を共有しあう共同体をも指す。
言語決定論linguistic determinism :あるいは言語相対論linguistic relativity。世界の事物や事象などの概念が記号によって構成された言語の思考によって無意識に固定されているために、異なる記号体系の言語を話 す人では世界観が相容れない、同一の内容を思考することが出来ないとする仮説。 サピア-ウォーフの仮説Sapir-Whorf hypothesisとも言う。日本語の敬語などによって生まれる感覚の違いなど、正しい面もある。しかし翻訳を通じて異言語話者でも理解することも出来 る。
言語権linguistic rights :言語的人権 linguistic human rightsとも。言語の面での人間の平等権。個人的言語権とともに集団的言語権を捉えなおす必要がある。
言語政策language policy
:公用語や国語に国家が介入し、文法の整備や、言語の現状と言語規範の一致などを行うこと。トルコ言語改革や日本の国語改革が代表格。主な公用語を持つ国 は何かしらやっている。
言語接触language contact :二つ以上の言語が互 いに影響を及ぼしあうこと。互いに語彙の借用が行われ、時代が進むと借用語が恒久のものになる。また文法や語法も、バルカン半島の言語連合のように違う語 族の間でも共通点を持つようになる。
言語帝国主義linguistic imperialism :ある民族語がその言語共同体の政治・経済・文化・軍事などの諸要因を背景に他の国家や共同体の民族語を圧迫すること。前者の民族語を帝国言語 imperia lingvo、後者を辺境言語marĝena lingvoと呼ぶ。これからは私見だが、言語帝国主義に対峙するためにはそれぞれの言語共同体の言語権を認め、全世界に散らばる共同体 をエスペラントによる世界市民主義で援助しなければならない。 →言語民族主義 →世界市 民主義
言語 年代学glottochronology:系統を同じくする二言語が分離した年代を見 積もる学問。エスペラントとイド語は見積もるまでもない。
言語普遍 :自然言語が持つはずの言語特徴の記述のこと。二つのアポローチがある。グリーンバーグの経験主義的なアプローチでは、諸言語の特徴を調査し、統計的に普 遍的性質を指摘していく。必ず持っている無制限普遍性unrestricted、たいていの言語は持っている統計的普遍性
statistical、そしてある特徴を持 つなら他のある特徴を持つという含意的普遍性implicationalなどがある。これの問題点は、消滅した言語を含む全ての言語を調査しなければ説得 性がないということである。また、チョムスキーなどの演繹主義的なアプローチでは普遍文法が仮定され「Xバー理論」「θ理論」「格理論」「完全解釈の理 論」を諸言語にあてはめていくもの。この問題点は前提とされている文法原理が少数の言語から経験的に導き出されたに過ぎないこと。
言語変種language variety :ある個別言語の体系的な変異のこと。→方言
言語民族主義linguistic nationalism:タニヒ ロユキ氏の用語。 言語的統一、文化的統一性を志向し異端な言語集団・共同体を排斥、消滅させようという考え。言語の「純粋性」「純潔性」も志向する。内向きの志向性であ り、それが外向きに働くと言語帝国主義になる。 →言語帝国主義
言語 連合sprachbund:一定の範囲の地域で話されている、異 なる語族や語派に属する諸言語が同じ特徴を有する場合にそれらの言語群を言語連合と呼ぶ。バルカン半島の諸語派の諸言語で冠詞の後置が一致しているのが、 その例である。
言語類型linguistic types:言語の形態的な特徴に基 いた分類。その一つの例は以下の通りである。古典中国語などの語形変化をせず語順で格を表すのは孤立語isolating language。日本語やトルコ語などの接尾語や後置詞で格を表すのは膠着語agglutinative language。アラビア語やラテン語などの語形変化によって格を表すのは屈折語inflectional languageである。また、一つの単語、特に動詞に多数の語彙的形態素(主語・目的語・副詞など)が抱合された言語を抱合語 incorporating language と呼ぶ。また単に人称接辞などの形態素が動詞に多く接辞する言語は複統合的言語polysynthetic languageと呼ばれる。エスペラントは前置詞などは少し孤立語的であるし、動詞に時制の接尾辞がつくのは膠着語的である。
語彙lexicon :言語の語彙項目の集合。
語彙素lexeme :言語学で単語の代わりに使われる用語。
項argument :動詞が表す動作や状態のこと。これになれるのは名詞。→名詞
構成素constituet :統語論syntaxでの形態素の呼び方。形態素はそれ以上分けられないので最終構成素ultimate constituetと呼ぶ。またある構造が中に含んでいる構成素を直接構成素immediate
constituetと呼び、それを分析していくことを直接構成素分析immediate constituet analysisと呼ぶ。これに分析できたものを構成素構造consititiuet structureと呼ぶ。それで、この構造は樹形図tree diagramであらわす。その際に線の分かれ目を節点nodeと呼ぶ。
構造structure :文における単語の並び方の規則性。文中での単語 同士の関係を連辞関係syntagmatic relationsと呼ぶ。→体系
公用語official language :国家の公式の言語。国語national language。
後置詞postposition :名詞の後に置かれる側置詞。日 本語の「に」「で」などの格助詞。 →前置詞
コー ド切り替えcode-switching :話者が言語変種を場面 によって使い分けること。日本語方言話者が進学のために上京した場合に、大学の友人とは標準語で、地元の友人とは方言で話すことなど。→二言語変種使い分 け
コーパスcorpus :電子化された自然言語の文章から成る巨大なテキストデータのこと。ローベル・ショダンソンなどはその言語の社会的地位を表すステータスに対比して、言語 産出の量と話者の言語能力の性質という意味でのコーパスという用語を用いている。モロッコではベルベル語のコーパスは50ほどだが、ステータスは0に近 い。
語幹stem :拘束形態素がつく形態素のことを語幹という。語幹はエスペラントや日本語のように自由形態素であるとは限らないし、二つ以上の形態素から構成される 場合もある。→語根
語形成word formation :新しい語彙素が生み出されること。→複合語 →混成語 →刈り込み →頭字語
国際語international language :複数の国家間の政府や市民の情報伝達手段として使用されている言語。歴史的な国際語はアラビア語、フランス語、英語などの民族語がそのまま国際語に昇格 した事例が多い。エスペラントなどの人工語はそのことによって生まれる不平等や不利益を解消するために作られた。これは私見だが、国際語は民族語ではなく 人工語がなるべきで、文化のための民族語と文明のための国際語とをその機能できちりと分別すべきである。
語根root :語彙的な意味を持つ一つの形態素。→語幹
個人語idiolect :究極に言えば、個人個人が話す言語は、 単語の意味やそれに含意されるもの、または単語使用の癖などによって違う言語だ、とも考えられる。七十億の人間がいたら七十億の個人語があるのかもしれな い。→個別 言語
語族language family:同系cognateであること が証明されている諸言語のこと。インド・ヨーロッパ語族(ペルシャ語・ヒンドゥー語・フランス語・ロシア語・ドイツ語)、シナ・チベット語族(北京官話・ タイ語)、オーストロネシア語族(タガログ語・インドネシア語)、オーストロアジア語族(ヴェトナム語)、アフロ・アジア語族
(アラビア語・アムハラ語)、ウラル語族(フィンランド語・ハンガリー 語)、アルタイ語族(トルコ語・モンゴル語)、ドラヴィダ語族、ニジュール・コンゴ語族(スワヒリ語)など。エスペラントはいずれにも属さないので、イ ド語などと同系のエスペラント語族?だろうか。
語中音消失syncope : 語中の余分な音を省いて言いやすくすること。「体育」tai'ikuが「たいく」taiku→語中音添加
語中音添加epenthesis 語中に余分な音を入れて言いやす くすること。「くそたれ」kusotareが「くそったれ」kusottareなど。→語中音消失
個別言語individual language:日本語やエスペラ ント、フランス語などの言語。→個人語
混成語blend :かばん語portmanteau wordとも。
二語 以上の単語の音と意味を混ぜ合わせて一つの 単語にしたもの。「breakfast」朝食と「lunch」昼食で朝昼食「brunch」など。商品名などの 造語法でもある。

【さ・ざ】
再建reconstruction :同系の言語から祖語や祖語の音を復元すること。
最小対立minimal pair:最小の違いで別の語になる組み合 わせをつくり、最小単位である音素を確定する。エスペラントでいえば「drinki」飲酒する、と「trinki」飲む。「deserto」デザート、と 「dezerto」砂漠など。
恣意性arbitrariness :所記(シニフィエ)と能記 (シニフィアン)の間に必然的な関係がないという言語の性質。同じ事物でも異なった言語では違う能記で表現し、同じ言語でも能記が違うことがある。だから 単語を覚えないといけない。もし言語に恣意性がなかったら、音素の連続で事象を表現するのは不可能になる。言語の要因の一つである。
指小 辞diminutive:縮小辞とも言う。名詞や形容詞に接尾 し、「規模が小さい、程度が低い」といった意味や親近感を単語に与える。エスペラントでは-et。「frato」兄弟につけると「frateto」弟になる。「ridi」笑うにつけると 「rideti」微笑する →指大辞
シソーラスthesaurus :語彙分類集、概念別辞書、語索引など。ある言語のの語彙全体(なるべくは)を意味によって分類したもの。
指大 辞augmentative:名詞や形容詞に接尾し、「規模が大 きい、程度が高い」といった意味を単語に与える。エスペラントでは-eg。「frato」兄弟につけると「fratego」兄になる。「bona」良いにつければ 「bonega」とっても良い→指小辞
失語症:失語症とは脳梗塞や脳出血によって言語野が破壊されたときに 起こる障害。発話しにくくなる運動性失語と理解しにくくなる感覚性失語に分類され、障害は「話」「聞」「読」「書」などの分野に及ぶ。
失文法:話している文に文法構造が欠落している障害。日本語では助 詞、助動詞が欠落している。
自動詞 intranstive :結合価valencyが一の動 詞、すなわち項を一つしかとらない動詞。→他動詞
斜格 oblique case:主格以外の格全てを指す。エスペラン トでは対格しか存在せず、語尾に-nをつけて表す。なぜなら前置詞で格を表現しているからである。
借用語loan word :他の言語に由来する語彙項目。日本語で言えば漢語や外来語。エスペラントは機能語を除けばほとんど借用語で成立している。
自由形式free form :発話の単位。自由形態素とほぼ同じ意味。よって逆は拘束形式。 →形態素
上位語hypernym :英語ではsuperordinate lexemeとも。階層が上にあり、適用範囲の広い語。「鯖」に対する「魚」、「コアラ」に対する「動物」→下位語 →同位語
情報構造information structure :情報構造は話し手聞き手ともに了解済みの旧情報からなる主題topicと、聞き手が了解していない新情報である評言commentから成り立つ。主題は 文脈の中で一致している必要がある。
上層superstratum :ある言語集団によってある地域の言語集団が征服された場合に、征服者が自分の言語を捨てて、その地域にもとからあった言語を採用することがある。その場 合 に征服者の言語がその地域の言語に影響を残した場合に、前者を上層と呼ぶ。→基層。
上下関係hyponymy :「動物」と「熊」、「植物」と「たんぽぽ」のような上位語と下位語の関係。
所記signifé :ソシュールが唱えた。記号を構成する要素のうち意味を所記(シニフィエ)と呼ぶ。→能記
職業語jargon :職場や仲間内だけで使われる言葉。集団語。
深層 格deep case: チャールズ・フィルモアが唱えた理論。格文法。 述語に対して他の語が持つ役割から表示さ れる格。行為者格agent、対行為者格counter-agent、対象格object、結果格result、道具格instrument、始点格 source、終点格goal、経験者格experiencerなど、動詞述語を中心に格を決めていく。
深層構造deep structure :句構造文法の欠点を補うためのチョムスキーの変形文法transformational grammaerの用語。文章そのままの表層構造surface structureではなく深層的な構造で表したもの。「How are you?」(ご機嫌いかが?)という文ならば深層構造では「You are how」になる。これを表層構造に戻すには変形規則transformational ruleで変換する。
シンタグマティックな関係 syntagmatic relations :連辞関係。隣り合う要素同士の関係。他と置き換えられない関係。「緑の」「黒髪」は「青の」「黒髪」と置き換えられない。→パラディグマティックな関係  →構造
心理的実在psychological reality :言語の語や文法が言語話者の脳に占めていること。形態素の異形態の例で、その心理的実在はよく確認される。幼児でも「ほん」(本)と「ぶんこぼん」(文 庫本)の「-ぼん」は同じ意味であることは知っている。
成分分析componential analysis:アメリカ構造 主義言語学の用語。語を意義素による意味成分semantic componentに分析する分 析のこと。例えば「鯨」と「猪」と「鮫」であれば「猪」<+動物><+陸棲>、「鯨」<+動物><−陸棲 >、「鮫」<−動物><−陸棲>と表される。→プロトタイプ理論
節clause :文の一部だけれど文の内容を持つ。形容詞節や関係詞節など。
接辞affix :語幹につく拘束形態素。語幹の前につくのは接頭 辞prefix、語幹の後につくのは接尾辞suffixという。動詞などについて時制を変えるだけで元の語幹が別の語彙素にならないのは屈折接辞 inflectional affix、エスペラントの形容詞語尾-aや副詞語尾-eのように違う語彙素に変わってしまうのは派生接辞derivational affixという。
接続詞Conjunction :文章を接続させる。エスペラントではkaj、do、nu、sedなど。
ゼロ形態zero morph :英語「fish」の複数形は「fish」で同形である。この場合、単数形の「fish」が複数形の「fish」になるために、複数の意味を表すけれど実 態の無い形態素、すなわち「ゼロ形態」がついているために複数形になるの だと考える。無理やりだ。
線状 性linearity: 線条性とも。単語などの記号が一列に並ぶ 性質。改行は気にしない。
選択 制限selectional restriction:もしくは共起制限co- occurrence restriction。文法的に 正しくても単語が意味として矛盾しているときにはその単語を連ねて使用できないこと。「無職の速さが立方体の球を手で蹴った。」は意味としておか しいので選択できない。
前置詞preposition :名詞の前に置かれる側置詞。エスペラントはこれを使う。 →後置詞
前方照応anaphora :これ、それ、あれなどの指示対象のある表現
相補分布complementary distribution :英語のlは冒頭と語中語尾とでは音が違う場合、出現する環境がだぶらずに、互いに補い合っているような音の状態。
側置詞adposition :名詞を術後と結びつける働きをする。→前置詞 →後置詞

【た・だ】
対義 性antonymy: 反対の意味を持つという性質。
待遇表現speech levels  :話し手と聞き手の違いによって使い分ける表現。日本語の敬語など。エスペラントも二人称単数人称代名詞にvi とci があり、ci は 親しい間柄だけで使われた。
体系system :単語の意味の体系。同じ体系にある単語同士の 関係を範列関係paradigmatic relationsと呼ぶ。これによって単語の意味を正確に決定していく。→構造
大母 音推移great vowel shift:1400年代から 1600年代にかけての英語の母音の変化のこと。nameの「ナーメ」から「ネィム」に変化、timeの「ティーメ」から「タィム」への変化など。
多義語polysemic word :一つの語に多くの意味が含まれている語。日本語の「足」など。
脱ク リオール化decreolization:クレオールやピジンな どの自然に多くの言語の要素がまざってできた言語が、その社会の上の階層の言語の文法の影響を受けて、その上層の言語に同化してしまうこと。
他動詞transitive :結合価valencyが二以上の動 詞、すなわち項を二つ以上とる動詞。 →項 →自動詞
単肢 言語:主語を必ずし も明示せずに動詞述語の中に主語の意味を内包 させる言語のこと。→両肢言語
談話 標識discourse marker:談話などで使われる話し 言葉。間投詞や接続詞、副詞などに分類される。「まあ」「だしょ?」「ねぇー」「うぐぅ」「あうー」など。
中間 言語interlanguage:母語以外の言語を習得中の話者 によって話されたり書かれたりする、本来のその言語とは違った体系を持つ言語。習得者の母語の文法や発音に影響されていることがある。ほとんどのエスペラ ンティストが話しているのはこの中間言語である。
中和neutralization :音韻が最小対立をする二つの音素がその対立を中和させて区別できなくなること。このような中和が起こる場所を中和の位置position of neutralizationと呼ぶ。
直示deixis:語用論で「昨日」「去年」などの時間や「ここで」 「あそこで」などの場所に依存した発話表現のこと。それらの時間や場所がなくなると通じなくなる。
直喩simile :比喩の一種。「〜のように」「like」「kvazaŭ」などを使った表現で、比喩であることが直ぐに分かる。
通時態diachrony :ソシュールによる、ある言語(ラング)の要素の変化やその変化の過程のこと。→共時態
提喩 synecdoche: 比喩の一種。上位語を使うところで下位語 を、下位語を使うところで上位語を使う比喩。「桜」を「花」と呼んだりすること。
転移 transfer: 第二言語以降の言語を習得する際に母語などの既知の言語の影響が出ること。学習を促進することを正の転移positive transferといい、母語に干渉されてしまうことを負の転移negative transferという。
同位語co-hyponym :上位語でもなく下位語でもない関係にある語。「動物」という上位語の下にある「タヌキ」と「イヌ」と「クジラ」は同位語である。
同音異義語homonym :関連もなく意味も同じではない語の音がたまたま似ている語。「貴社の記者が汽車で帰社した。」のキシャ。
同化assimilation :前後の音の影響を受けて同じような音になる現象。前の音が後ろに作用する順行同化は少なく、後ろの音が前の音に作用する逆行同化のほうが多い。「分から ない」が「分かんない」になること。→異化
統語的複合語:「おし+そこなう」「やり+すぎる」などで受動形、使 役形などの形式を取ることができるもの。「おされ+そこなう」「やられ+そこなう」。一方で「見落とす」などの語彙的複合語はそれらの形式を取ることがで きない。
動詞verb :述語predicateになり、動作や状態を表 す。→自動詞 →他動詞
同義語synonym :
非両立関係にあって意味が同じ語。
同族目的語cobnate object :自動詞がその動詞と同 語源の名詞を目的語としているときの目的語のこと。He lives a terrible life.アラビア語では強調の意味でこれを使用する。例えば「فرحت فرحا」(とても喜んだ。)
等語線isogloss
:言葉の変異を地図で表してそのまとまりを等高線のように表現したもの。写真や説明によりそれが何を指すかを話者に言ってもらい、地図にそれを記録し、結 ぶ。一つ一つの語によって線の区切りは異なる。
頭字語acronym :複合語などの名詞の頭文字を繋げてつくられた語。エスペラントではTTT(La Tut-Tera Teksaĵo) が有名。エスペラントにはこういった頭字語にも、名詞語尾-oや形容詞語尾-aなどがつけられて使用される場合もある。DVDをDVDoとするなど。

【な】
内項 intemal argument:意味上の目的語、被動者のこ と。「この板は折れやすい。」という文章では、主語は「板は」だけれど、これは実際は「折りやすい」の目的語であり、内項(意味上の目的語)である。→外 項
内心構造endocentric construction :あるまとまりを持った語がその中の構成素と一つでも同じ統語的機能を持っている場合、その語を内心構造と呼ぶ。「楽しい歌」は「歌」と同じ名詞類だから 内心構造、「楽しく遊ぶ」は「遊ぶ」と同じ動詞類だから内心構造である。 →外心構造
内的 言語I-language:内言とも。音声のない、自分自身に向けられ た言 語。思考のための言語。→外的言語
内容語content word :名詞や形容詞、動詞などの意味内 容がわかる語。→機能語
二言 語変種使い分けdiglossia:一つの社会の中で、階層に よって言語や方言に差があり使い分けられている状況。威信が高い言語をH変種、低い言語をL変種と呼ぶ。アラブ世界ではH変種は正則アラビア語 الفصحى、L変種はエジプト・湾岸・マグリブ・シリアなどの方言العاميةとなる。→コード切り替え
二重分節性double articulateness:アンドレ・ マルティネによって提唱された。人間の言語は少数の音素の無限組み合わせで多くの形態素を作ることができるという性質。
ここでは形態素を第一次分節、音素を第二次文 分節と呼ぶ。これがあるので比較的少ない数の音素(第二次分節)の組み合わせで経済的に、形態素(第一次分節)を作ることが出来る。第一次分節は言語の恣 意性による仕組みであり、第二次分節は人間の生理的な音声の限界からくるものである。
認識的モダリティepistemic modality :モダリ ティとは日本語では「〜したい」「〜だろうか」などの話者の心象や判断を表現するカテゴリーのこと。そのうち「〜だろうか」「〜かもしれない」や、エスペ ラントで言えば「povas -i」で表現される蓋然性や可能性に関わるモダリティーを認識的モダリティと呼ぶ。一方で「しなければならない」、「してもよい」、「devas -i」、「permesas -i」などは義務的モダリティdeontic modalityと呼ぶ。その他にも命令
的モダリティroot modalityもある。
ネオ 方言neo-dialect:方言が標準語の影響を受けて進化し たもの。主に都市部の若者が使う。
能格 言語ergative language:有名な言語は大体が対 格言語accusative languageで、自動詞(目的語のない動詞)であっても他動詞(目的語のある動詞)であっても主語は主格、目的語は対格である。しかし能格言語では自 動詞の主語と他動詞の目的語が同じ絶対格をとり、他動詞の主語が能格をとる言語を能格言語と呼ぶ。エスキモー語、バスク語、アイヌ語などがこのような形を とる。
能記signifiant
ソシュールが唱えた。記号を構成する要素のう ち音や図形を能記(シニフィアン)と呼ぶ。→所記

【は・ば・ぱ】
バイリンガリズムbilingualism :社会ではなく個人的に二つ以上の言語を使用すること。言語能力が同じならば均衡バイリンガル、言語能力に差が生じれば偏重バイリンガル、一つがほとんど 使われないと潜伏バイリンガルになる。
波状説 :シュミットJohannes Schmidtによって提唱された系統樹説への批判のための論。単一の言語から言語が分化するのではなく、近接する言語が互いに影響しあい伝播しながら変 化していくとする。
派生derivation:意味や品詞を変える形態変化。日本語の 「さ」による動詞から名詞への派生、エスペラントの品詞語尾-o、-a、-e などによる変化。→屈折
発話utterance :言語を音声で表出すること。発話される場面により直示表現を持っている。 →直示
パラディグマティックな関係paradigmatic relations :範列関係。置き換え可能な要素の関係。「赤い」「花」は「青い」「花」でも、「赤い」「鼻」で可能。そんな関係→シンタグマティックな関係 →体系
パロールparole:ソシュールによれば、話し手の意図が含まれた 個人的な言語。→ラング
反義語antonym :非両立関係にあって意味が反対の語。対義語。
ピジンpidgin :英語の「business」の中国語訛。複数の言語が混在する社会があるとき、それらがちゃんぽんになった補助的な言語。語彙数が少なく文法が簡略で言 語の単純化といえる。「ピジョン」pigeon、鳩の言語ではない。→クリオール
比喩comparison :別の語で、ある語を喩えること。
表意 explicature:単語の文字通りの意味。そこから話者が 本当に言いたいことは推意Implicature
表意文字ideogram :漢字のうち、象形文字や指事文字など、意味を表しているもの。 →表語文字
表音文字phonogram :個々の文字が個々の音に対応してい る文字。文字が音素に対応していれば単音文字alphabet(アルファベット)、文字が音節に対応していれば音節syllabic letters(ひらがな・カタカナ)。→表語文字
表現的な意味expressive meaning :社会的な意味 social meaning。「この部屋は寒いな」という文が持っている「窓を閉めて」や「暖房をつけて」などの感情的な意味。→記述的意味
表語文字logogram :個々の文字が音に対応しているだけではなく、意味や事象に対応しているもの。漢字のうち、大きな割合を占める形声文字など。 →表意文字
標準語 standard language :言語変種のうち標準と見なされているもの。日本語で言うと東京方言。
表層 格surface case :語順、語形変化、接尾辞によって表 層的に、形で表示された格のこと。
非両立関係incompatibility :同じ意味の場の同じ階層にある語の関係。→反義語 →同義語 →類義語
品詞parts of speech :語彙項目の分類法の一つ。言語によって違いがあり、日本語には連体詞、助詞、助動詞。中国語には介詞などがある。ディオニシウス・トラクスは名詞・動 詞・分詞・冠詞・代名詞・前置詞・副詞・接続詞、プリスキアヌスは
名詞・動詞・分詞・冠詞・代名詞・副詞・前置 詞・間投詞・接続詞を設定した。→名詞 →動詞  →形容詞 →副詞 →側置詞 →接 続詞 →感動詞
フォルマント Formant:人の話す音声の周波数スペクトルの ピークが時間的に移動している場合、そのピークを低い順に第一フォルマント、第二フォルマントと呼ぶ。
複合 語compounding :共に語根である形態素が合わさってできた 語。「foot」足と「ball」球で「football」フットボール。エスペラントの基本的な造語法である。
副詞adverb :文が表す事象の時や場所、動詞の動作や状態の様態を描写する。エスペラントでは副詞語尾-eなどで表す。
袋小 路文garden path sentence :語順を追って読 んでいくと一度解釈し終わったかのように見るのだが、最後につけ足された言葉によって再解釈しなければならない文章のこと。「私は自分の娘を食べた鯨を食 べ た。」
普遍 文法universal grammar:チョムスキーの唱えた生成文法の 理論。人間には生まれながらにして持っている言語能力competenceがあり、子どもは周囲で話されている言語をきっかけにして自らの内にある言語能 力を発見することで言語を獲得していくのだ、というもの。その言語能力こそ普遍文法にあたる。
プロトタイプ理論prototype theory :同義語・類義語の中に中心的な成員の語があり、他の同義語・類義語は周辺的な成員としての語として存在し、意味の構造を形成すること。「出版物」「本」 「書籍」「書物」「図書」の中心的成員(プロトタイプ)は「本」である。
文法範疇grammatical category :動詞のカテゴリーは時制tense、アスペクトaspect、モダリティーmodality、様態voiceなど。時制は過去・現在・未来。その他にも 不定過去・直接過去・遠過去・神話過去・遠過去・完了過去・先過去など。アスペクト は完了相perfectiveか非完了相imperfectiveか。または瞬時的・持続的・継続的・始動的・休止的・反復的など。モダリティーは話者の 心理状態を表し法moodによって別れ、直説法・懐疑法・仮定法・希求法 ・命令法などがある。様態は動詞の視点を表し、受動態か能動態かに分かれる。また、名詞のカテゴリーは格case、性gender、数number、人 称person、定不定definiteneseなど。格は名詞の働きを表し、主格、対格、属格などがある。性は男性・女性・中性など。数は単数・双数・ 三数・ 複数など。人称は一人称、二人称、三人称。エスペラントの名詞のカテゴリーは格(主格・対格)、数(単、複)、人称(一、ニ、三)に違いがある。定不定の 違いはなく、性も無い。
分裂文 cleft sentence:例えば英語のTom eats octopus. と言う文をIt is X that Y.という形にすれば二つの文、It is Tom that eats octopus.とIt is octopus that Tom eats.に分裂する。これが分裂文。
変異divergence :地域や社会的属性、年齢によって言語が違うこと。
弁別的素性distinctive feature :音のうち、失うと本来の音と見なされなくなるような重要な性質。音素よりも小さな単位。有声か無声か、鼻音かどうか、など。→余剰的素性
偏流drift :定向変化、傾斜とも。サピアの理論。一定の方向に変化する個人的変異が、長い期間をかけて言語を一定の方向に変化させていくことで、これを解明すれば言 語の未来予想図が描ける。サピアは「Whom do you see?」の例をあげ、I-me he-himなどは主格と目的格が異形だが、what、which、などの関係詞・疑問詞は主格と目的格が同形であることから、われわれの大部分が 「Who do you see?」で良いのではないかと思い、その思いがwhomを消滅させるだろう、というもの。サピアの予想通りに、実際にwhomは使われなくなってきてい る。
母音 交替apophony :母音の変化が形態素の活用・格を変化させたり、派生させたりすること。英語では「sing」「sang」「sung」。アラビア語では活用は派生のほと んどはこの母音交替。「كاتب」(kātibun)作家、「كتاب」(kitābun)本、「كتاباً」(kitāban)本を、「كتابٍ」 (kitābin)本の、「كتب」(kataba)彼は書いた、など
母音 三角形vowel triangle
:三角形で表される母音の体 系。「i」と「a」と「u」を頂点とする。この三つ母音しかない正則アラビア語が典型的な三角形をなす。トルコ語やフィンランド語などの母音調和がある言 語は三角形に ならない。また広口母音で前舌と後舌を区別すると四角形になる。エスペラントは「i、e、a、o、u」の五母音で三角形。
母音 調和vowel harmony:広口か狭口、前舌か後舌かで母 音を分類し、ある単語の母音はすべてどちらかの分類の母音になること。トルコ語は八つの母音が四つの前舌母音と四つの後舌母音とに分かれており、接尾辞も 分類によって母音が変化する。そのため複数接尾辞が前舌用の-lerと後舌用の-larの二通りある。フィンラン ド語なども母音調和がある。
方言dialect :言語変種のうち集団をなしているもの。地域によって異なる地域方言regional dialectと社会的な階層や集団によって異なる社会方言social dialectに分かれる。社会方言の代表格はスラングslang
方言周圏論:柳田國男が『蝸牛考』で唱えた説。より新しい方言を中心 に古い方言が同心円状に囲んでいるというもの。波状説wave theoryとも。
方言連続体dialect continuum :方言が連続的に変化しているために明確な方言の境界を定めることが出来ない地域での方言
放出音 ejective sound :肺ではなく咽頭が気流を起こす場所になっている音。
補充法suppletion :語を活用するときに語根の形態素を別の形に変化させるもの。不規則活用。英語のbe動詞の「am」「is」「are」「was」「were」などが代表 的。
翻訳 借用loan translation:ただ語の音形をそのまま とりいれた音訳借用と対立する概念であり、音ではなく意味をそのまま取り入れたもの。近代初期の日本語にとりいれられた「民本主義」「哲学」「死角」「摩 天楼」のような言 葉。

【ま】
民族語:自然語とも。民族に依存する言語であり、文化や伝統を担い、 その民族(言語共同体)の結束を維持するための言語。対義語は国際語、人工語など。
民間語源folk etymology :いわゆる「学術的な」語源ではなく、実際の使用者である一般庶民の言語意識によって語源の解釈がなされること。
名詞noun :人や事物を表し、項になる。すなわち主語や目的 語、補語になる。エスペラントな名詞語尾-oで、複数なら-ojで、対格ならば-on、-ojnで表される。→項
無言症:理解は出来るが全く話すことができない障害。
明示的意味denotative meaning :外延。例えば「兄」と「お兄たま」と「兄さま」と「お兄ちゃん」と「兄貴」と「兄上」と「兄君」が共通して示す「年長の男兄弟」が明示的意味である
。しかし暗示的意味は違う。→暗示的意味 → 概念的意味
メタ言語能力metalinguistic competence: 幼児期や言語習得初期における言語能力。まだ言語を習得していない時期に、言葉について言葉を使って客観的に考える能力のこと。
モーラmora:拍。ある一定の長さをもった音の単位。音節と違って話者の心情 に左右される。日本語では長音「ー」、促音「ッ」、撥音「ン」を一モーラとしている。ただ「きゃ」「きゅ」はこれで一モーラになる。日本語の音の単位。→ 音節

【や】
余剰的素性redundant feature :あればあったでいいけれど、特になくても同じ音として扱われる性質。→弁別的素性
有標marked :二つの対立する語のうち、「Xである」という はっきりとした意味を持つものを有標、はっきりとした意味を持たないものを無標unmarkedという。「書いた」の場合、はっきりと過去のことを指して いるので有標だけれど、「書く」には過去のこともさせば、過去でない時制のことも示すので無標である。無標は「Xである」も「Xでない」についてはっきり と示さない。

【ら】
ライマンの法則 Lyman's Law:「つむじ」+「かぜ」→ 「つむじかぜ」のように後続の語・形態素に濁音がある場合に連濁(連声)が起こらないこと。
ランガージュlangage :ラングとパロールをあわせたもの。言語活動。
ラングlangue :ソシュールによれば、ある個別言語の使用者が共通に、均質に持っているはずの言語のこと。これを言語学の研究対象とすべきとした。これには言語学の対象 を狭め、変異に対応できなくさせるなどの問題点がある。これがあるから個別言語内で意思疎通が出来る。→パロール
両肢 言語:主語を必ず明 示する言語。主語と目的語の二項を両肢に見立 てた。→単肢言語
リン ガ・フランカlingua franca:一定の地域で多くの言 語が話されている場合に生まれる共通語。東アフリカのスワヒリ語、ヘレニズム世界のコイネーなど。母語ではないので文法が簡略化されることがある。でも時 代と共に母語化される。
類義語synonym :非両立関係にあって意味が似ている語。(英訳が同義語と変わらないじゃん。
類推analogy :言語が関連するほかの形式の影響を受けて変化すること。ら抜き言葉など。
歴史言語学historical linguistic :通時言語学diachronic linguisticsとも。言語の歴史的な変遷を研究する。
連語collocation :特別な結びつきのある語「真っ赤な」「嘘」など。「真っ青な」「嘘」とは言えないために、シンタグマティックな関係にある。
連声(れんじょう)sandhi :フランス語のリエゾンなど。語や形態素の最後の音と後続する語や形態素の音の間に音声的な影響があること。「an apple」を「アンナップル」と呼ぶなど。日本語の連濁(「くち」「けんか」→「くちんか」もその一例)
ロー タシズムrhotacism:別の音素が/r/に変化してしまう こと。

〔言語学者〕
アンドレ・マルティネAndré Martinet:1908-1999。フラ ンスの言語学者。インターリングアで知られる国際補助語協会International Auxiliary Language Associationの会長である。二重分節性の定理を提唱した。 →二重分節性
エイヴラム・ノーム・チョムスキーAvram Noam Chomsky: 1928-。アメリカの言語学者。生成文法を唱えた。→普遍文法
エドワード・サピアEdward Sapir:1884-1939。 アメリカの言語学者。ドイツで産まれ、アメリカ先住民族の言語の研究を行う。1921年に言語によって人間の世界観が決定するという説を唱える。
オットー・イェスペルセンJens Otto Harry Jespersen :1860-1943。デンマークの言語学者。国際補助語であるノヴィアルを考案した。国際語選定代表社会の言語委員会の一員であり、その委員会の几帳面 な参加者であった。そしてエスペラントに叛旗を翻しイド語推進の主要なメンバーになる。
ジョーゼフ・ハロルド・グリーンバーグJoseph Harold Greenberg :1915-2001。アメリカの言語学者。「SVO、AN、前置詞」などによって表される言語類型論を唱えた。また、セム・ハム語族という名称をアフ ロ・アジア語族に言いかえる運動を行った。
チャールズ・フィルモアCharles J. Fillmore :アメリカの言語学者。深層格と動詞の関係により文を考える格文法を唱えた。 →深層格
フェルディナン・ド・ソシュールFerdinand de Saussure :1857-1913。スイスの言語学者。近代言語学の祖。意味の分類の差異(シニフィエ)と音の差異(シニフィアン)を恣意的に組み合わせたものが言語 だとしている。晩年はアナグラムに打ち込む。 →恣意性
ベンジャミン・リー・ウォーフBenjamin Lee Whorf: 1897-1941。イェール大学でエドワード・サピアの下で学ぶ。アメリカ先住民族の言語についての研究を行う。言語的相対論を唱える。
レナード・ブルームフィールド Leonard Bloomfield : 1887-1949。アメリカの言語学者。1950年代の生成文法の出現以降その重要度は低下する。アルゴンキン語族の系統調査を行いアルゴンキン祖語を 再建した。自由形式と拘束形式を分類し、語が最小の単位だとした。


【参考文献】
超 民族語
言 語学入門―これから始める人のための入門書
ま るごと エスペラント文法
言 語帝国主義とは何か
言 語の発展―国際語エスペラントの観点から
言 語―ことばの研究序説』エド ワード・サピア著
『言語学大問題集163』
こ とばへの権利―言語権とはなにか
英 語発達小史
言 語政策とは何か

ふきだしのレトリック

Barkituro
Revenu

参照頁
情報・批評空間

空想エスペラント