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COMITIA 79


 2006年2月4日日曜日。前日 夜からの流行性感冒発症のためにマスク着用、そして国際展示場についた途端に3年半使っていた眼鏡の左の蝶番付近のテンプルが折れる、という二重苦に もめげずに、そして同日西4ホールで 開催されていたコスプレフェスタの魅力に負けずに行って来ました、コミ ティア79。11時 数分過ぎに入場。ちょっと体調は悪いけれど、今日の狙いも文章コーナー。目標はいい 文章系サークル を新しく一つは見つけること。まずはお決まりのツムギウタで 『たたかうプログラマー初版』を購入する。推定弦伎さんに「これはエッセーですが?」と問わ れようとも、他は全て購入済みなので問題なし。新刊の内容はプロトタイプ版よりもかなり増量されているものだった。普段の弦伎さんのお勤めの様子がよっく 分かる。こうして事前に立てた購入目標を一瞬で成し遂げるとわずかに五列しかな い文章コーナーを徘徊し始めた。マスクからこぼれた吐息 が眼鏡のレンズを曇らせる。おまけに左のテンプルが無い眼鏡は目線からずれているので前が見にくい、視界が狭くて本探しに集中できない。大丈夫なのか?生 きて還ること ができるのか?

 まず買ったのは視覚音痴のバターナッツさん の『Life of shadow』、ってこれ文章じゃありませんね。文章系列に入り込んでいた青年マンガ屋さんだったようだ。けれどパソコンで描いたという女 の子群がいい味 出している。そもそもこの人の絵柄は黒ベタが多いようで、 それが絵全体を落ち着かせ、女の子の闇なる魔性の可愛さを引き立てている。普通に商品マスコットとしても使える汎用性のある絵柄だ。また、同人誌の内容も 影をテーマに人間心理を描いていてハッとさせられる。これから注目 していきたい。

 次に買ったのはAstronautの郁雄/吉武さんの『ク イックハルト』とその外伝的小説『オッカムの剃刀ふたつ』である。イラストは丸山トモヲさん。『ク イックハルト』の方は文芸社か ら出ているようだ。読んだ第一印象は、作者がものすごく小説を書き慣れているということ。ドライブスペース領域などの設定や、戦争代 理決闘としてのクイックハルト、<大正昭和日本><昭和日本><平成日本>などの架空世界同士の相違、彩雲千早の 胸…などの設定は正直うまいと思う。そして「三拍に値する」という章題とその由来になったエピソードは気に入っている。またパソコン用語を駆使していた文 体が、その手の知識に欠ける私にはやや難点だったけれど、アクション系ライトノベルとし て充分に楽しめる。楽しめるのだけれど、私はどの登場人物にも共感できなかった。まあ共感しようがしまいが、楽しければそれでいいのだけれど、もう十代に は戻れないのだな、としみじみ感じた。それは、不死不滅の人間とそうではない恋人の恋愛感情とドライブスペース領域の世界観の描写が私の中でうまく消化な り、結合できなかったことも原因としてあるのだろう。その点で物語の主題がなんなのかを捉えられなかったのは残念だ。いや、むしろ世界観がなんなのかを考 えるのではなく、世界観の中で楽しむ物語なのだろうか、これは。

 こうして文章系の有象無象の森を彷徨っていて
最後に見つけたのが木星水槽の杉原モトイさんの 『灯り屋と庭の夜』と『博物館』。サークル自体から独特の雰囲気を醸し出していたので購入。短編小説の一篇一篇が散文詩のような物語を書く人で、文章とい うよりも世界を描いている。まるで一篇が一枚の絵画を見ているようで、こういうのは好きだ。そして「双児宮殿」や「方舟」「瓶蛹」「投光器」「投影式の万 華鏡」などの言葉の感覚に、私 の感覚に近いものを見た。たぶん杉原モトイさんの頭の中には、ぼんやりと杉原さんなりの世界がすでに浮んでいるに違いない。そしてそれを一つ一つの短編の 組み合わせと挿絵で表現しようとしているのだろう。そうやって紙に投影された彼女の想像世界をこれから私も覗き見てみたい、と思 う。おま けで付いてきた栞の色合いもいい。ただし、この本に栞は要らない。

 疲労したのか、体調がすぐれなくなったので30分ほどで会場を後にした。短い滞在期間であったけれど文章系とマンガ系で面白いサークルを見つけたので、 いろいろと収穫のあったコミティアであった。

木星魚の水族館木星水槽
AstronautAstronaut
視覚音痴視覚音痴

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